食物アレルギー

食物アレルギー

特定の食べ物が原因でアレルギーが起こります。発症は離乳食を始める乳児期が多く、さまざまな育児に関する悩みが多い時期でもあるので親御さんの不安は大きくなりやすいかと思います。ですが大きくなるにつれて徐々に食べられるようになることが期待できます。かつては食べさせない治療が行われていましたが今は出来るだけ食べさせて体を慣らす治療(経口免疫療法)が注目されています。

症状

主な症状

典型的な食物アレルギーの症状は即時型といわれ原因食物を食べてから15分以内、遅くとも2時間以内に現れます。最も多い症状は皮膚や粘膜の症状ですが消化器や呼吸器など全身の症状がでることもあります。

皮膚

赤くなる、湿疹、じんま疹、かゆみ粘膜;口の中の違和感、腫れ、のどのかゆみ、イガイガ感、くしゃみ、鼻づまり

呼吸器

ゼイゼイする、咳が出る、息苦しい

消化器

腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便

アナフィラキシー

ほぼ同時に複数の臓器に症状が現れます。例えばじんま疹(皮膚)とゼイゼイする(呼吸器)が起こったときなどです。さらにひどくなると血圧が低下し意識を失うアナフィラキシーショックを起こします。生命に関わる状態なのですぐに病院での治療が必要になります。

食物アレルギーを起こしやすい食べ物

小児でアレルギーを起こす頻度の高い食べ物は鶏卵、牛乳、小麦です。全体の約2/3を占めます。幼児期以降はエビ、カニなど甲殻類やそばなどが上位を占めるようになります。

食物アレルギーの検査と診断

多くは最初に血液検査を行いIgE抗体を調べます。おおまかな傾向を知るための検査で食べたものが明確にわかっていればアタリをつける事が出来ます。どんな食べ物でどんな症状が出たか、食べてから症状が出るまでの時間など親御さんからの情報が診断のカギになります。何種類もの加工品を食べているときはメモをしてみせて貰えると助かります。

食物経口負荷試験

血液検査では結果と症状が一致しないことがあります。食物経口負荷試験は確定診断や食べられるようになったか(耐性獲得)、食べられる量を正確に把握するときに行います。実際に原因となる食品を口にして、症状を確認していきます。症状を誘発させるリスクがある検査なのでアナフィラキシーを認めたことがある場合は、入院施設を備えた病院で行うことが考慮されます。

食物アレルギーと診断されたら

まずはじめに、乳児期に多い卵、牛乳、小麦はおおよそ3才までに50%、6才までに80-90%がふつうに食べられるようになるという報告があります。赤ちゃんのときに出てしまった食物アレルギーは自然に治ることが期待できます。気を楽にしながら食事管理をしていきましょう。まず食物アレルギーと診断されたら原因となる食物の除去を行います。除去といっても完全に除去するだけでなく気を付けながら少しずつ食べる、経口免疫療法をとることが主流になってきています。原因食物、過去に食べた時の症状、食べた量、血液検査の結果から食事管理の方針をたてます。定期通院して食事管理の見直し、発育、アトピー性皮膚炎の合併がないかなどみていきます。この方針を見直すために半年~1年に1回程度のペースで、血液検査を行うことをおすすめしています。食物アレルギーと離乳食アレルギーを過度に心配し離乳食を遅らせたり、卵を食べさせるのを控えることはアレルギーの予防につながりません。離乳食は生後5か月から、遅くとも6か月のうちにはじめましょう。はじめて食べさせるものは不安になると思いますが赤ちゃんの体調が良いときに、ごく少量から始めること、また受診できる時間(平日の午前など)にあげることに気を付けてください。この条件がクリア出来ていれば症状がもし出てしまっても軽症でかつ病院での手当てもすぐに出来るので安心です。離乳食を始めたら卵・牛乳・小麦などは微量ずつ適度に食べさせてあげてください。

スキンケアの重要性

最近では湿疹のある肌からアレルゲンが侵入することが食物アレルギーの要因と考えられています。実際食物アレルギーを持つお子さんの約7割が湿疹(アトピー性皮膚炎を含む)をもっています。湿疹が出た場合は早めに積極的な治療を行います。肌をきれいに保つことは食物アレルギーの予防につながることもありますし悪化を防ぐことができます。食事管理と合わせてお肌の治療も行っていきましょう。

よくある質問

卵や牛乳をいつから食べさせるか悩んでいます。与える前に血液検査を受けた方が良いですか?

食べさせる前に検査をすることはおすすめしません。安全かどうか確認したい気持ちはわかるのですが実際は確認にならないばかりか、結果次第では食べても問題ないものも怖くなり食べさせれない状況が増えています。不必要な除去食は親も疲れますし子の発育にも悪影響です。初めて食べるものはあかちゃんが体調の良い時、ごく少量、病院があいている時間(平日の午前)を気を付けてあげれば安心です。 血液検査を受ける時期としてはアレルギーの原因となる食品がある程度分かってきた段階の1歳過ぎた頃がおすすめです。

湿疹やアトピー性皮膚炎があると食物アレルギーになりやすい?

食物アレルギーをもつ赤ちゃんのうち約7割の方は湿疹(アトピー性皮膚炎)があります。肌があれているとアレルゲンが侵入し食物アレルギーを引き起こすと考えられています。湿疹は早く治す必要があります。

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